韓国映画「재심(善惡の刃)」と映画では描かれていない刑事の死

※サムネイル画像:映画「재심」公式ポスターより
こんにちは、コリアンライフです。
最近、「재심(日本タイトルは善惡の刃)」という韓国映画を見ました。
「재심」はそのまま訳すと「再審」という意味です。
どうしてこの映画を見たかと言うと、あるテレビ番組でこの映画のモデルとなった弁護士さんが、この映画の話をしていたからです。
調べてみたら韓国のNetflixにありました。
2016年の映画です。
2016年になんでこの映画を見なかったかなと思いました。
(2016年は自分のことでいっぱいいっぱいで、とても映画どころではなかったんです。)
今回は映画「재심(善惡の刃)」についてです。
※注意:この映画は実話に基づいて作られた映画ですが、100%実話ではありません。
映画「재심(善惡の刃)」とは
映画「재심」公式ポスターより
この事件はもともとSBS「그것이 알고 싶다(それが知りたい)」というテレビ番組で初めて公に知れ渡るようになりました。
私もこの事件を番組で知り、怒りが湧き上がってきたのを覚えています。
この事件は2000年全羅北道イクサン市のヤクチョンオゴリという場所で起こった殺人事件です。
オゴリというのは오=5、거리=通りで、5本の道が重なった交差点のことを指します。
アルバイトでバイクに乗っていた15歳の高校生(カン・ハヌル)が、突然飛び出してきた人とぶつかってしまいます。
同じ頃、近くでタクシー運転手が何者かによって殺害されます。
そして何の罪もない高校生(カン・ハヌル)は、近くにいて刃物を持っていたというだけで、犯人にされ懲役10年となります。
何の罪もない高校生が10年服役し、出所。
その頃、弁護士になったものの経済的にも恵まれず、家族からも愛想つかされた弁護士(チョン・ウ)。
大手弁護士事務所で働きたいがために、その事務所が主催する無料法律相談所の仕事をします。
そこで二人は出会い、弁護士(チョン・ウ)は濡れ衣を着せられた事件の真相を知ることになります。
事件の真相と映画では描かれていない結末
ネタバレになりますが、現実にあった事実なので言ってしまいますが、真犯人は2003年に現れていたのです。
でも警察は自分たちの誤りを恐れ、その事実を隠し、真犯人を逃がすのです。
その後、再審で証言者が現れ、警察の捜査ミスが明らかになり、2016年に少年の無罪が確定。
高校生だった少年は31歳になっていました。
真犯人は捕まり、2018年に懲役15年の判決が出ています。
実は映画では描かれてませんが、この事件は再審が始まって1か月後、担当刑事は自ら命を断っています。
家族に「苦しい」と言い残し、命を断ったのです。
当時、この事件の真相が明らかになり、韓国社会はこの担当刑事をいっきに非難しました。
事件の映画化によって、人々が注目し、再審できるようになったことは大変いいことですが、それだけでは済みませんでした。
少年は現在、家庭を持ち、父親となり暮らしています。
再審専門弁護士
出典:www.mediapen.com
この映画の主人公の弁護士は再審専門弁護士として一躍有名になりました。
この人は高卒の弁護士だそうです。
そういった意味で弁護士界ではアウトサイダーだと本人も言っていました。
その後も韓国社会を賑わせた再審事件を弁護しています。
この弁護士は担当刑事が再審後、自ら命を断ったことにも触れていました。
最初、自殺は自分には責任ないと思っていた。
でもよく考えると、そうではなかった。
刑事も人間であるため間違いもある。
当時の数少ない証拠と犯人を捕まえたいという思いが先走り、周りが見えなくなっていただけで、彼らの言い分もある。
そのようなことを聞くこともせず、非難だけすることは間違っている。
今韓国社会で起きている、「魔女狩り」や「崖っぷちまで非難する社会的雰囲気」を考える必要があるとも言っていました。
韓国は日本以上にネット社会で速度も早いため、こういった非難する社会をより感じます。
個性豊かな出演陣
出典:https://movie.naver.com/
この映画は演技派の俳優さんたちばかり出演しています。
私は映画の内容は知っていて、つまらないかと心配しましたが、名演技にどんどん引き込まれていきました。
ちょっと残念だったのは母親役が映画では目が見えない設定にされていること。
実際にニュースで見た母親は目が見えるのに(顔にはモザイクが入っていましたが)、どうしてこのような設定にしたのかと思いました。
カン・ハヌル君の演技も良かったです。
今回は韓国映画「재심(善惡の刃)」についてお伝えしました。
機会があれば見てみてください。